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エピソード記憶維持向上システムの研究開発

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エピソード記憶維持向上システムの研究開発

委託研究 総務省
共同研究 富山大学、キュアコード株式会社

研究の背景

「エピソード記憶」とは、個人が経験した「出来事」に関する記憶であり、出来事の内容に加え、出来事を経験したときのさまざまな付随した情報(周囲の環境、時間・空間的文脈、そのときの自己の身体的・心理的状態など)の記憶のことです。

エピソード学習・記憶の機能が低下すると、いわゆる〝もの忘れ〟が発生することになり、あらゆるパフォーマンスの低下を招きます。

日本では急速な少子高齢化に伴い、労働生産人口の縮小により、今後、働き手不足が深刻になり、延いては国際競争力低下に繋がることが以前から懸念されています。

この課題を解決するには、働き盛り世代のストレス低減及び病気予防、そしてパフォーマンスを長く維持向上させ、労働生産性や国際競争力の向上及び維持継続をさせることが緊急かつ重要な事項となっています。

この研究の目的は、脳の学習・記憶のメカニズムのうち、「エピソード記憶」に焦点を絞り、その維持向上により、クリエイティブ人材・知的労働者として働く現代の労働者の生産性の向上やシニア世代の現役期間の延伸を補助する、スマートフォンアプリケーションを用いたヘルスケアシステムを開発することです。

なお、この研究開発は総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の補助により行われました。

研究の成果

  • スマートフォンを用いた心理学的実験システムの開発
  • ビジネスリーダー層数十名を対象に実験
  • 通常屋内で行われる実験と同等の結果を獲得
  • 画像により視覚モダリティの刺激の提供
  • 活動量を取得するウェラブル端末とシステムの連携
  • 音声による実験方法の案内や運動中の注意喚起
  • 本システムにより、運動群と非運動群でエピソード記憶の定着率が異なる分析結果

今後について

エピソード記憶の維持向上には、視覚以外の刺激でも脳を活性化する必要があります。現在は脳の全部位(モダリティ)を活性化させるため、運動方法等を含めたエピソード記憶を高めるコンテンツの開発を行っています。臨床研究を重ねることでエビデンスを蓄積し、認知症の予防など、働き盛り世代からシニア世代までの重要な課題の解決にも応用するための研究も行っています。

開発について

正確な結果を得るため、被験者の所持するデバイス(スマートフォン等)や通信環境の違いがテスト結果に依存しないよう、同一のデバイスの付与やオフラインでテストが実施できるようにネイティブアプリとして実装し、テスト後にまとめてデータを送信するような工夫をしています。